探偵事務所を開業するのは難しい?開業に必要なものや手続きとは
探偵という職業に憧れている方の中には、「探偵事務所を自分で開業して経営してみたい」と考えている方もいらっしゃるでしょう。
もともと事業を行っていて事業内容を拡大したいと考えている経営者の方や、資産に余裕があり独立資金がすぐ用意できる方などは、探偵事務所の開業に大きな興味を持っているかと思います。
実際、探偵事務所を自分で開業して経営が軌道に乗れば、年収を大幅にアップさせることや、資産をより増やすことは成功しやすい分野と言えます。
ただ、探偵業という職業自体、普段から接することの少ない分野なので、開業するためにどのようなことが必要なのか、手続きはどのようなことをしなければいけないのか、そもそも探偵事務所を開業することは難しいのかどうか、わからないことだらけだと思います。
そこで今回は、探偵事務所を開業するために必要なことや、開業するうえで必要な手続き、そして、探偵事務所を開業する際に準備しなければいけないものなどを、現役探偵が詳しく解説していきます。
Contents
探偵事務所を開業するのって難しいの?
探偵業界に限ったことではありませんが、自分で事務所を開業するとなると、難しそうなイメージがありますよね。
ただ、探偵業は業界未経験であっても事務所を開業すること自体はそれほど難しくありません。
探偵事務所を開業したいと思ったら、必要な書類を用意して、開業する前日までに、警察署を経由して公安委員会に届け出を行うだけで開業自体は可能です。
弁護士や医者と違い、探偵になるために必要な国家資格などもないので、公安委員会に届け出を行えば、探偵業界未経験であっても探偵事務所を開業することはできるのです。
開業するうえで必要な書類や手続きについては、次の章でより詳しく見ていきましょう。探偵事務所の開業自体それほどハードルが高くないことは間違いないのですが、開業できないケースもありますので注意が必要です。
開業できないケースもある
探偵になるために必要な特殊な資格は特にありませんが、開業が認められないケースもあります。探偵業を健全に営むための法律が施行されてから、探偵業を営む者について「欠格事由」が制定されました。
探偵事務所を開業するためには欠格事由に該当していないことが条件になります。もし、以下の7つの欠格事由に1つでも該当していれば事務所の開業は認められません。
1:成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
2:禁錮以上の刑に処せられ、又は探偵業法の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
3:最近5年間に営業停止命令・営業廃止命令に違反した者
4:暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
5:心身の故障により探偵業務を適正に行うことができない者として内閣府令で定めるもの
6:営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年でその法定代理人が全各号のいずれかに該当する者
7:法人でその役員のうちに第一号から第五号までのいずれかに該当する者があるもの
関連サイト:探偵業の業務の適正化に関する法律
以上の欠格事由に該当していなければ、未経験であっても誰でも開業することが可能です。ただ、開業自体はできてもまったくの素人がすぐに成功して事務所を軌道に乗せられるほど探偵業界は甘くありません。
探偵として成功し、事務所の経営を軌道に乗せるためには、探偵としての知識や技術をしっかりと学ぶことはもちろん、事務所の経営も学んでから開業するのがお勧めです。
参考サイト:オンライン探偵学校|探偵経営コース
探偵事務所の開業ステップと手続き
ここからは、探偵事務所を開業する上で必要なステップと手続き、準備しなければいけない書類などを見ていきましょう。
探偵事務所を開業する主なステップ
探偵事務所を開業し、成功するためのステップは
1.前もって探偵の知識や技術、経営について学ぶ
↓
2.事業計画書を作成する
↓
3.開業資金を集める
↓
4.公安委員会に届け出を出す
↓
5.集客手段を準備する
↓
6.事務所を準備する
↓
7.開業
が主な流れでしょう。
開業するために必要な手続き
探偵業法で、探偵事務所を開業する際には営業を開始する日の前日までに、その所在地を管轄する都道府県公安委員会に営業の届出をしなければいけません。
その際に必要な書類は、
・探偵業開始届出書
・手数料(3,600円)
・添付書類
です。
なお、事務所の移転などで届出内容に変更があった場合や、万が一廃業した場合にも届出をしなければいけません。必要書類の3つ目の添付書類は個人と法人で異なりますので、以下を参照してください。
☆個人として開業する場合の添付書類
・履歴書
・住民票の写し(本籍地記載の住民票でマイナンバーが記載されていないもの)
・誓約書(法第3条第1号から第6号に該当しないことを誓約するもの)
・身分証明書
・申請者が未成年である場合は、法定代理人の氏名と住所を記載した書類と営業許可証明書
☆法人として開業する場合の添付書類
・定款の謄本
・登記事項証明書
・役員全員の以下の書類
‐履歴書
‐住民票の写し(本籍地記載の住民票でマイナンバーが記載されていないもの)
‐身分証明書
・誓約書
探偵事務所を開業するうえで準備しなければいけないもの
探偵事務所を開業するうえで必要な資格は特にありませんが、スムーズに事務所の経営を進めていくうえで準備しなければいけないものもたくさんあります。
徐々に用意すればいいものもありますが、開業すぐは以下のものを最低限準備しておくと良いでしょう。
探偵業届出証明書
探偵事務所を開業するうえで何よりも必要なのは、前述した探偵業届出証明書です。事務所の所在地を管轄している警察経由で公安委員会に、営業を行う旨の届出を行い、受理されれば交付してもらえます。
面倒だからとこの届出証明書をもらわずに探偵業を営んでしまうと、法律違反として罰せられることになりますので、必ず開業する前日までには準備してくださいね。
探偵業届出証明書というと仰々しい名前なのでハードルが高く感じるかもしれませんが、前述の欠格事由に該当せず、所定の書類に不備が無ければ、ほぼ確実に交付されますので安心してください。
なお、探偵業届出証明書を交付してもらったらオフィスの目につくところに掲示し、ホームページを開設する際は分かりやすい場所に探偵業届出番号を記載するようにしてください。
開業資金
探偵事務所をゼロから開業することを考えると、開業資金も準備しておいたほうが安心でしょう。
他にも事業をやっていてオフィスがある場合や、探偵として働いた経験があり、機材をすでに持っている場合は別ですが、未経験で開業するとなると、事務所や機材を新しくそろえなければなりませんし、宣伝費も必要になります。
それらを踏まえると、200万円~300万円ほど準備しておくと良いでしょう。
オフィス
探偵事務所を開業するうえで何より必要なものが探偵業届出証明書ですが、届出の際に事務所の所在地を記入しなければなりません。そのため、開業する前の届け出の段階で事務所をどこにするか決めておかなければなりません。
探偵事務所はお客様が相談に足を運ぶことになりますので、オフィスとして準備するのがベストですが、開業当初、金銭的にも事務所を借りる余裕がないという場合もあると思います。その際は、自宅を事務所として届け出を行っても問題はありません。
ただ、探偵事務所として営業していくうえで依頼者が来訪したり、時には警察の立ち入りがあったりしますので、自宅でそれが可能かどうか考えて決めたほうがいいですね。
自宅をオフィスとした場合、「狭いのでカフェなどで依頼者と面談する」ということも可能ではありますが、事務所に訪問できないとなると、依頼者からの信用もなかなか得られませんので、やはり、専用の事務所を準備しておくのが無難でしょう。
調査に使う車
探偵として働くためには、調査で尾行や張り込みを行う機会がとても多くなります。その際に車は必需品となります。
普段乗っている車があれば、それを調査に使う車として兼用で使うこともできますが、張り込みや尾行で使うとなると、あまりにも目立つ車は使いにくいでしょう。
赤や青など派手目の色だったり、エンジン音が大きい車だったり、高級車すぎたりすると、ターゲットだけでなく周囲の人たちにも目立ってしまうので調査の失敗を招くことになります。
新しく調査用の車として準備する際は、目立ちにくくなおかつ荷物がある程度入れられる車を購入すると良いでしょう。
調査機材
探偵としての仕事は、浮気調査や嫌がらせ調査、企業内調査など多岐にわたりますが、すべてに共通しているのは調査を行い、証拠を押さえることがメインになるということです。
そのため、調査で使用するビデオカメラやデジカメ、ICレコーダー、GPSなどの機材を準備しておく必要があります。
調査を光のない暗闇で行わなければならない場面も多く出てきますので、暗闇でもターゲットをしっかりと捉えられるような専門性の高い機材をそろえるようにしましょう。
固定電話
依頼者からの問い合わせや相談を受けるための固定電話も準備しておくと良いでしょう。探偵事務所の中には、個人の携帯電話を事務所の電話として使っているところもありますが、個人の携帯電話だとやはり依頼者からの信頼を得にくくなる可能性があります。
事務所を開業するのであれば、固定電話を用意して、もし余裕があればフリーダイヤルも用意した方がいいでしょう。
パソコン
探偵の仕事は、調査を行って証拠を押さえることですが、最終的に調査報告書を作成して依頼者に渡さなければいけません。その調査報告書を作成するためのパソコンも準備しましょう。
プログラミングやウェブデザインをするわけではないので、そこまでスペックが高い必要はありませんが、ワードやエクセル、パワーポイントは使えるものにしておくと良いですね。
また、調査報告書を作成した後、印刷するためのプリンターも準備するのがベターです。
ホームページ
これは必須ではありませんが、余裕があれば開業する際にホームページも準備しておくといいです。
今はインターネットでなんでも調べられる時代なので、依頼者の方もどの探偵事務所に相談しようかネットで検索することがほとんどです。そのため、ホームページを用意しておくだけでも依頼が増えやすいですし、依頼者の方も安心して相談できるでしょう。
探偵事務所を開業すること自体は簡単だけど・・・
今回お伝えしてきたように、探偵として働くために特殊な資格が必要なわけではありませんし、事務所の開業も欠格事由に該当していなければ誰でも比較的簡単に独立して探偵業を営むことができます。
しかし、探偵事務所の開業自体は簡単でも、探偵として活躍し、事務所を軌道に乗せて大きな利益を生み出すことは決して簡単なことではありません。
探偵として成功するためには、探偵としての技術や知識を事前にしっかりと学び、広告の手法や集客方法など事務所の経営も学んでおくことが必要です。
一般的なのは既存の探偵事務所に入社してサラリーマンとして働き、探偵としての技術を学んでから独立開業する方が多いですが、それだとかなりの年数がかかってしまいます。
探偵事務所に所属せず、探偵学校で探偵のノウハウを学ぶという方法もありますが、すでに今現在社会人として働いている方だと、なかなか学校に通う時間を確保するのも難しいでしょう。
そこでお勧めなのが、オンライン上で探偵を学べるオンライン探偵学校です。インターネットが使える環境であれば、いつでもどこでも自由に探偵のスキルを学ぶことができますし、理解しにくかった部分や繰り返し学びたい部分も自由に繰り返し再生して復習することが可能です。
時間と場所を選ばないので、今のお仕事で忙しい方も、家事や育児で時間が取りにくい方でも、やる気さえあればしっかり探偵業を学ぶことができます。当事務所が開設しているオンライン探偵学校には、希望に合わせて選べるコースを複数用意していますので、ぜひご自身のライフプランに合わせてコースを選んでみてください。
参考サイト:選べるオンライン探偵講座
まとめ
今回は、探偵事務所を開業するうえで必要な書類や手続き、準備すべきものについて解説してきました。
どんな業界、どんな商売にも言えることですが、一番大変なのは開業することではなく、開業した後に軌道に乗せて利益を出すことのほうが大変です。
しかし、探偵事務所を開業してうまく経営をしていければ、年収数千万円を稼ぐことができるようになるのも夢ではありません。それは、会社勤めにはない開業の最大のメリットと言えるのではないでしょうか。
甘くはない世界ですが、自分の努力次第で道は開けていきますので、探偵に興味がある方はぜひ今回の記事を参考に開業についても考えてみてくださいね。