未経験でも探偵事務所を開業できる?失敗しない方法と準備すべきもの
もともと探偵の仕事に興味を持っている方や、新しく何か事業を始めたいなと思っている方の中には、「探偵事務所を開業するのってどうだろう?」と考えたことがある人もいらっしゃるでしょう。
しかし、
「探偵に憧れてはいるけれど、実際の仕事内容ってよくわからない」
「探偵事務所を開業するためには何から始めればいいのだろう」
「探偵業未経験でも開業することはできるのだろうか」
など、いろいろな疑問が出てくると思いますし、不安も大きいですよね。
確かに、未経験でいきなり探偵事務所を開業し、利益を出すというのは簡単なことではありませんが、簡単ではないからこそ、探偵業界はある意味ブルーオーシャンと言うこともできます。
つまり、探偵を雇いたいという需要は多いものの、依頼をしっかりと受けることができる事務所が多くないため、成功すればかなりの年収を期待することができますし、依頼者から感謝されて大きなやりがいも感じることができるでしょう。
そこで今回は、未経験で探偵事務所を開業することを考えている方に向けて、開業するために必要な手続きや書類、未経験で探偵事務所を開業するための方法、そして未経験だからこそぶつかる可能性のある壁について解説していきたいと思います。
Contents
探偵業界未経験でも探偵事務所を開業することはできる?
そもそも探偵業界の経験がない人が探偵事務所を開業することなんてできるのだろうか?と疑問に感じるかと思いますが、結論から言えば、探偵業界未経験であっても探偵事務所を開業すること自体は可能でそれほどハードルは高くありません。
次の章でより詳しく解説しますが、「探偵事務所を開業したい」と思ったら、業務を開始する前日までに管轄する警察署を経由して公安委員会へ必要書類を提出すればOKです。その際、特に必要な資格はありませんので、誰でも探偵事務所を開業すること自体は可能です。
ただ、開業そのものはできたとしても利益を出し続けて経営を続けていくことは簡単ではありませんし、実務もうまくいくとは限りません。その点に関しても後の章で詳しく見ていきましょう。
探偵事務所を開業するために必要な手続きや書類
探偵事務所を開業すること自体それほど難しいことではないとお伝えしましたが、具体的にどのような手続きを行えばいいのでしょうか。
探偵事務所を開業する際は、警察署を経由して公安委員会に書類を提出するのですが、その際
・探偵業開始届出書
・手数料 3,600円
・添付書類
の3種類の書類が必要になります。
なお、添付書類については個人で開業するのか法人で開業するのかによって異なります。個人と法人、それぞれの場合に必要な添付書類は、次のとおりです。
【個人で開業するときに必要な添付書類】
・履歴書
・住民票の写し
・誓約書(探偵業法に定められている「欠格事由※」に該当しないことを誓約する書面)
・身分証明書
・申請者が未成年の場合、法定代理人の氏名と住所を記載した書類、営業許可証明書
【法人で開業するときに必要な添付書類】
・定款の謄本
・登記事項証明書
・役員全員の履歴書、住民票の写し、誓約書、身分証明書
※個人で開業する場合も法人で開業する場合も必要になる誓約書ですが、誓約書は欠格事由に該当しないことを誓約するものです。欠格事由は探偵業法に定められていて、以下に該当する者は、届け出をしても探偵業の開業や営業を認めてもらうことができないことになっています。
【欠格事由】
1.破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
2.禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して五年を経過しない者
3.最近五年間に第十五条の規定による処分に違反した者
4.暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第六号に規定する暴力団員又は暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者
5.心身の故障により探偵業務を適正に行うことができない者として内閣府令で定める者
6.営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年でその法定代理人が全各号のいずれかに該当する者
7.法人でその役員のうちに第一号から第五号までのいずれかに該当する者があるもの
関連サイト:探偵業の業務の適正化に関する法律
未経験者が探偵事務所を開業するための3つの方法
先ほどの章で、探偵事務所を開業するときの手続きについて解説しましたが、申請して公安委員会から営業の許可をもらったとしても、依頼がすぐに殺到したり、実務がスムーズにいったり、すぐに経営が軌道に乗ったりという確率は少ないでしょう。
なぜなら、まったくの未経験者が経営している探偵事務所に調査を依頼する人はなかなかいないからです。
皆さんも、美容室でカットやカラーをお願いするとなれば、できればベテランの美容師さんに担当してもらいたいと思うでしょうし、難しい病気の手術となれば経験の少ない新人よりもベテランの医師に手術してほしいと思いますよね。
探偵業界でも同じことが言えて、特に探偵への調査依頼料金は高額になることが多いため、できれば失敗せず確実に証拠を取ってくれそうな事務所に依頼したいと思うのが一般的なのです。
「じゃあ未経験で探偵事務所を開いても絶対にうまくいかないじゃないか!」と思ってしまうかもしれませんが、未経験の方でも開業してうまく軌道に乗せていくことができる方法があります。
その方法についてこの章では見ていきたいと思います。
フランチャイズとして開業する
1つ目の方法は、有名大手探偵事務所のフランチャイズとして開業する方法です。大手の有名探偵事務所の名前を借りることになりますので、フランチャイズでできれば依頼に困るということにはならないでしょう。
しかし、フランチャイズとなるとロイヤリティを守る責任が発生しますので、全くの業界未経験者だとフランチャイズの許可が下りない場合もありますので、この方法は少しハードルが高いと考えておいておいたほうがいいかもしれません。
既存の探偵事務所に就職して経験を積んでから開業する
2つ目の方法は、既存の探偵事務所に未経験の状態で就職し、経験を積んでから独立するという方法です。
この方法は、お金を稼ぎながら探偵としての技術や知識を学べますし、実際に探偵として働くことができますので、経験をたくさん積むことができるというメリットがあります。
ただ、一度就職してしまうとなかなか簡単に辞めて独立するということはできなくなりますので、自分で開業して独立するまでにかなり長い時間がかかってしまう可能性があるというデメリットもあります。
探偵学校でノウハウや知識を学んでから開業する
3つ目の方法は、開業する前に探偵学校でノウハウや知識を学んでから独立する方法です。この方法は探偵業界未経験の方が探偵事務所を開業して探偵として働き始める上で一番の近道と言えるでしょう。
始めは未経験であっても、探偵学校で探偵としてのスキルや知識、技術を学ぶことができますので、開業した後も依頼をこなすことはできます。
この方法でネックになるのが、探偵学校に通う時間がなかなか取れないということでしょう。今はまだ学生で、比較的学ぶ時間が取れるというのであれば話は別ですが、探偵事務所の開業を考えている方のほとんどが現在すでに仕事を持っていて、なかなかまとまった時間が取れない方だと思います。
毎週●曜日の●時から学校に通う・・・となると、ハードルが高くなるでしょう。職場の会議や接待などで通えないときも出てくると続けるのが難しくなってしまうかもしれません。
そこでお勧めしたいのが、オンライン探偵学校です。オンライン探偵学校であれば、インターネットが使える環境であればいつでもどこでも探偵になるための知識を学ぶことができます。
講座を聞くタイミングを自分で選べるので「今日は比較的時間に余裕があるからいつもの倍講義を聞いて、明日は忙しいからお休みにしよう」と自分でカスタマイズすることができます。
また、何度も再生することができるため、気になったスキルや理解しにくかった部分があっても、理解して納得できるまで講義を聞くことができます。
当事務所でもオンライン探偵学校を開校していますので、気になる方はぜひご覧になってみてください。
参考サイト:年商1億を目指せる!探偵経営コース
探偵業界未経験の人が開業するときにぶつかる可能性のある壁
探偵事務所を開業することそのものはそれほど難しくなくても、開業した後の実務や経営は決して簡単ではないということはお伝えしました。
独立開業することは、経験豊富な自分の得意分野であっても簡単ではありませんので、未経験の業界ではなおさら難しく感じるでしょう。
では、実際どのようなことで難しさを感じるのでしょうか。ここでは、未経験の方が探偵事務所を開業するときにぶつかる可能性のある壁について解説していきたいと思います。前もってどのような壁にぶつかる可能性があるのかを知っておくだけでも、いろいろな対策を打つことができますよ。
撮影機材や車両の準備が大変
探偵として仕事をするためには、最低限、「車両」「撮影機材」「自転車」「パソコン」が必要です。
車両、いわゆる車は、調査現場までの移動にも使いますし、ターゲットが車やタクシーで移動する際に車で尾行を行うことになりますので、必ず必要になります。
撮影機材はターゲットの浮気現場や不正行為の現場を押さえるための撮影を行ないますので、これも探偵事務所を開業するならば必ず必要になります。
自転車は、徒歩で移動するターゲットの先回りをするときなどに使いますので、自転車もあったほうがいいでしょう。
パソコンは、調査が終了した後の調査報告書を作成する際に使いますし、調査のデータを管理するためにも使いますので、パソコンも最低1台は必要です。できれば、調査報告書を印刷するためのプリンターもあるとベターです。
準備しなければいけないものの中で一番重要なのが撮影機材ですが、業界未経験者にとってこの撮影機材をそろえることのハードルがかなり高く感じられるかと思います。
探偵の調査は、昼間の明るいところでだけ行われるわけではなく、真夜中の暗闇で調査をして証拠を捉えなければならない場面も多々ありますし、近くまで接近できずに遠くから証拠を取らなければいけないこともあります。そのため、望遠性能が優れたものや夜間でも撮影可能な暗視カメラなど、そのときの調査状況に適したカメラを複数台用意しなければいけません。
しかし、探偵としての実務が未経験だと、どのようなカメラを用意すればいいのか、カメラは何台用意すればいいのか、性能はこれで十分なのかどうかがわからず、準備するだけでもかなり大変なはずです。
撮影機材の準備でミスをしてしまうと、実際の調査で撮れるはずの証拠を取ることができずに調査が失敗に終わってしまうリスクもあるため、やはりいきなり開業するよりは、事前に探偵としての知識を身に付けておいたほうが安心ですね。
調査員の確保ができない
探偵業界において、最もお金がかかるのが人件費です。お客様が払う探偵の調査費用もそのほとんどが人件費を占めています。
そのため、未経験で探偵事務所を開業する場合、経費節約のため、自分一人もしくは配偶者との二人など、最小限の人数で始める方が多いかと思います。
しかし、普通の仕事と違って、探偵の調査は依頼者が望む証拠を掴むまで調査が続きますし、ターゲットに動きがある限り調査が続きます。そのため、張り込み調査も含めて24時間以上の調査が連日続くことも珍しくありません。
探偵経験者を雇うとなると、かなりの人件費がかかってしまうため、未経験の人を雇って育てたほうがいいという発想になるかと思いますが、開業している本人も未経験で手探りで仕事をしていると、雇った下の調査員が育つのもかなりの時間がかかってしまいます。
人件費的にベテラン調査員を雇うのは難しい・・・だからと言って、未経験で雇った調査員を育てるのも厳しい・・・だけどより多くの案件を取るためには調査員の人数が必要・・・というジレンマに陥る可能性もあると思います。
依頼が全く来ない
先ほどは、案件はあるのに調査員が足りずに苦労する可能性をお話ししましたが、逆にまったく調査の依頼が来なくて経営が厳しくなるという壁にぶつかる可能性もあります。
実際、いざ開業しても思っていたようには集客出来ずに、廃業になってしまう探偵事務所はかなり多いのです。毎年、約600近く新しく探偵事務所を開くための届け出が出されているのですが、それと同じくらいの件数の廃業届けも提出されているのが現実です。
どれだけ綺麗なオフィスを構え、どれだけ質の高い調査員をそろえていたとしても、依頼がまったく来なければ話になりません。
未経験で探偵事務所を開業するのであれば、どのようにして顧客を確保するのかについても考えておかなければならないでしょう。
まとめ
今回は、未経験で探偵事務所を開業するときの手続きの方法や必要書類、開業して軌道に乗せる方法、ぶつかる可能性のある壁について解説してきました。
もちろん、独立開業して成功すれば、収入は青天井になりますので、夢は大きく膨らみます。ただ、探偵業界に限らずどのような商売にも言えることですが、独立開業ということになれば、どのぐらいの収入を得られるのかは本人次第です。
また、探偵業界でまったくの未経験の方が開業するとなった場合、独学で知識や技術を学ぶのは限界もあると思いますので、開業する前に探偵学校などで必要な知識や技術、実務の流れ、経営ノウハウを学ぶのも重要だと思います。
今回の記事が、探偵事務所を開業したいと考えている方々の参考になってくれれば幸いです。